《MUMEI》 「ただいま、芋羊羹買ってきたよ〜。」 嫁さんが帰宅してきた。 この二人がどういういきさつで結婚したのか。 「音姫、帰宅の電話し忘れていたぞ。」 マロージャーの溺愛ぶりが気持ち悪い。 ラブラブ新婚さんな筈なのに旦那というより、保護者みたいだ。 「ごめんなさい忘れてた。あ、お茶はもう少し待ってくださいね。」 なんか、マロージャーと並ぶとお手伝いしてくれてるようで微笑ましい。 客人にも気配り出来る良妻だ。 「パパとは仕事のお友達ですか?」 「そう……かな?」 マロージャーをチラ見したら頷かれた。 「パパと仲良くしてくださいね。」 笑顔が眩しい。 照れてマロージャーがテレビを点ける。 「あっ、じろーだあ。」 数年前のちょこっと出ていた学園モノのときの二郎だ。 これが流れるとは中々マニアックだな。 「いけないわ。」 素早い手つきで嫁さんがチャンネルを切り替えた。 「ああああ!」 つい大きなリアクションをしてしまった。 「木下二郎好きなの?」 めっちゃ声色冷たいんですけど。 「好きです。」 相思相愛ですもの。 「えーと、」 「内館七生です。」 「内館さん、私は木下二郎が好きになれないの。覚えてね。」 最後に無邪気な笑みを贈られた。 「俺は二郎が大好きなんで覚えてね。」 負けじと笑みで返す。 前へ |次へ |
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