《MUMEI》 ワンコとのキス「あっあのさっ」 「うん?」 「オレ達って、恋人だよな?」 「………はあ?」 何を言い出すんだ、コイツは。 「男同士で恋人ってあるか。ただの幼馴染だろ?」 小学生の頃、同じクラスになって十年目。 高校2年になっても、同じクラス。 自然と一緒にいることが自然であるように感じてきた今日この頃。 いつものようにコイツの部屋で雑誌を読んでいたら、突然言われた。 「だっだって、キスしてるじゃん!」 「大声出すな!」 雑誌でアイツの頭を叩いた。 バシッ! 「イタッ!」 「お前の大声の方がイタイ」 「かっ家族はみんな出掛けているから、大丈夫だって」 「…そういう問題じゃねーよ」 再び雑誌を広げて、見る。 アイツはしょぼくれて、落ち込む。 …叱られた犬が、耳や尻尾を垂れさせている姿とかぶる。 「じゃあ…何でキスさせてくれるんだよ?」 「…お前がしたいって言い出したから」 中学に入ってすぐ、こんな風に二人きりの時に、コイツから言い出した。 俺とキスしたい―って。 別にイヤじゃなかったら…キスした。 そして今までも。 次へ |
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