《MUMEI》
電話
.


絵麻が上機嫌でデートに出かけてから、



わたしはリビングで寝っ転がってテレビを見て、仲元くんのメールに返事をして、


そうやって一日中ウダウダしていたら、


気づいたら、とっぷり日も暮れていた。



………あーぁ、

結局一日、ムダに過ごしちゃったよ。



軽く後悔しながらも、やっぱりゴロゴロしていると、


家の電話が鳴った。


「仁菜ー!ちょっと出てくれない!?」


今、手が離せないのー!と、キッチンからお母さんの声が飛んでくる。

面倒臭いと思いながらも、わたしは重い腰を持ち上げ、鳴り止まない電話に出た。


「…もしもし、宇佐美ですけど」


怠そうに電話に出ると、


『…あ!お姉ちゃ…!?わ…し、絵麻…けど!』


相手は、絵麻だった。

電波の悪いところで話しているのか、もしくは騒がしいどこかにいるのか、声が聞き取りにくい。とにかくノイズがひどいのだ。


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