《MUMEI》 . わたしはため息をついて、テレビに向き直ろうと電話に背を向けると、 また、電話が鳴った。どうせ、また絵麻からなのだろう。 そう思うと、 いい加減、イラッとしてくる。 ………なんなの!? ムカついたわたしは乱暴に受話器を取り上げ、 「電車が遅れてるんでしょ!わかったよ!!気をつけて帰ってこいッ!!」 怒鳴りつけると、 『……宇佐美さんですか?』 困惑した、くぐもった男の声が、聞こえてきた。 一瞬、間を置いてから、 わたしはサッと青くなる。 ………やっべー!! 絵麻じゃなかったしッ!! . 前へ |次へ |
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