《MUMEI》
思いがけない相手
.

わたしは慌てて、すみません!と謝る。


「ごめんなさい、宇佐美ですけども!!」


すると、

受話器の向こう側で、相手が呆れたようにため息をついた。


『お前は家でも、そんな感じなのかよ?』


ぶっきらぼうに尋ねてくる声に、わたしは眉をひそめる。



………この声。

聞いたことある…。



声はつづく。


『ホントにそそっかしいヤツ…いきなり怒鳴るとか、ありえなくね?』


そこまで聞いて、

脳裏に揺らめいた顔がひとつ。


わたしは、ハッとする。



………まさか、

なんで??



「………【レン】?」


怖々尋ねると、男は、おう、と歯切れよく答えた。


『つーか、なに?今、気づいたの?』


のうのうと答える廉。
わたしは突然のことにビックリしてしまう。


.

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