《MUMEI》

「6月の予選までには……って、聞いてるかい?内館君?」
部長がお前達(一年含む)新入部員のために説明してくれてるのにあの阿呆。


    ガチャ
生徒会の会議を終えて乙矢が重役出勤してきた。
「遅れました…」
鞄を寝息をたてていた七生の上に載せる。

「……ぐえぇっ」
潰れたに近いかな。

「部長、昨年度と一昨年度のダビングしてもらいましたよ」

「お、ちと遅かったな。
来年は気をつけて。」
七生の上でやり取りが始まった。

「苦しいわあ!」
七生君お目覚めですね。口の端にヨダレが垂れてる。

「お早う、はい。」
乙矢の手からCDが手渡された。

「貰っとけ」
まだはっきり知覚出来てない七生に声をかけ促してやる。

「……え、ありがとう?」
眉をひそめて首を傾げている。
それでも貰う辺りがらしいというか。


「私達はこれからドキュメント・ドラマ部門の作品撮りに取り掛かります。
私はアナウンス部門、内館君は朗読部門ね」
部長に肩をポンと置かれたことで、自分の置かれた状況をやっと理解したようだ。





   「――――俺?」
絵に描いたようなリアクション。

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