《MUMEI》
カウントダウン
.

軽くパニックになりながら、わたしはお母さんに聞こえないように小声で廉に話しかける。


「…出て来いって、ムリだよ。急だし、わたし、すごい格好だし」


テキトーに断ったが、廉は聞かなかった。ふざけんなよ、と毒づく。


『わざわざ来てやったのに、なんだそれ』


「頼んでないじゃん」


『うるせーな!早くしねーと、家に上がり込むぞ!!』


脅すような言葉に、わたしは青くなった。お母さんに廉の姿を見られたら、それこそ大騒ぎだ。


「わかった!10分待ってよ!!すぐ準備するからッ!!」


慌てて告げたが、廉は、ムリ、と一蹴する。


『時間ねーんだよ。そのままでいいから早くしろ』


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