《MUMEI》

.

青ざめているわたしに、

廉が、


「行くぞ、タコ」


と、素っ気なくわたしを促して、デパートへ向かって歩き出した。

わたしは廉の背中に慌てて声をかける。


「こんな格好じゃ、お店入れないよッ!!」


普段着以下の服装で、デパートに入るほどバカではない。間違いなく場違いだ。

尻込みするわたしに、廉は深いため息をついて、あのさぁ〜!と面倒臭そうに言う。


「その服装で、この大通りにいる時点で頭のオカシイやつだから!今さら気にすんな!」


人ごとのように言ってのけると、わたしの腕をつかみ、グイグイと引っ張っていく。



………やーめーてーッ!!

恥ずかしすぎるうぅぅぅぅうッ!!



必死の抵抗も虚しく、

わたしと廉は、眩しいデパートの光の中へと入って行った。





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