《MUMEI》 (今日は大丈夫そうだな。) 「…」 赤高ベンチ。 自信の表情を浮かべるクロとは対照的に、 安本は不安そうな表情を浮かべていた。 「ん? どうしたんすか安本さん? 元気ないすけど?」 「…何もできないんだなって。」 安本が呟く。 「…は?」 「…」 「どうかしたんすか?」 「…」 「…」 何も答えない様子の安本。 「…?」 (な〜に心配してんだこの人?) 「クロさん。」 沈黙を遮り千秋が話す。 「ん?」 「今日は俺出番ありますか?」 「…へっ。」 鼻で笑うクロ。 「?」 「もちろん。 いつでも行けるようにね。」 「はいッ!!」 (…千秋が試合に出たがるとはね。 一時期は部活サボってたくせに。 しかしま… こいつが一番の成長株だったしな…) 昨日の試合。 千秋は一度も出番がなかった。 1年生にも出番があったのにだ。 最近自信が付いていただけに、 落胆も大きかった。 試合に出ていた選手たちも反省がある。 赤高にとってこの試合は、 「お願いしますッ!!!!!!!」 「お願いしますッ!!!!!!!」 自分たちとの雪辱戦であった。 前へ |次へ |
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