《MUMEI》 「榊原(サカキバラ)!!」 先輩がそう叫んだ、 榊原と言う奴は短髪で金髪の奴だった。 「待ってたぜ、倉木……!!」 彼は右頬だげ吊り上げて薄気味悪く笑った。 そして先輩の方へ突っ込んで来る。 先輩はすかさずフェイントをかけた。 右に行こうと見せかけて、 左へ体を移動する。 その間のボール移動は素早く、 俺も目で追うのがやっとだった。 そしてついに榊原を抜き去ると……。 いや、抜き去ることは出来なかった。 先輩が抜き去るかのように見えたが、 実は抜けていなかった。 先輩はボールを持っていなかった。 前へ |次へ |
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