《MUMEI》
死の欠片
少女はただ立ち尽くしていた。


目の前に広がるのは、微かな焦げ臭さと、灰になった
   ・・
彼女の自宅。


あと、
灰になった彼女の家族。



悲しくて悲しくて、
彼女は涙を流すばかり。

そして彼女は決心した。


・・・・・・・
家族の元へ行くことを。



明くる日の夕方。
少女はあるビルの屋上にやって来た。
高層ビルが立ち並ぶ中でも、一際目立つ存在のそれ。

彼女は遺書を書くこともなく、黙ってビルから堕ちていった。

家族に会える思い出一杯だった。





だがしかし。

「………死んで…ない」

少女の体はボロボロになり、ぐちゃぐちゃだった。
血まみれのそれから、離れられる彼女は思った。


"死んだんだ。
でも、みんなには
まだ会えない―"


と。


彼女は又、ビルの屋上から堕ちた。

次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫