《MUMEI》 . 廉はわたしを振り返り、ああ?と凄む。 「俺のオーラは尋常じゃないんだよ!フツーにしてたらすぐバレちまうだろうが!」 鈍感オンナッ!と罵倒された。 わたしは呆れて返す言葉も見つけられず、ハイハイ、とテキトーに流す。 そんな感じで、ダラダラとフロアを歩いているうちに、突然、廉がひとつのブティックのまえで立ち止まった。 眼鏡越しに、ウインドウにディスプレイされているワンピースを見つめている。 わたしも彼の隣に並び、それを眺めた。 繊細な総レースで施された、キレイな白いワンピース。それを着せられたマネキンの足元には、黒いレザーのショートブーツがきちんと踵を揃えて置いてあった。 . 前へ |次へ |
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