《MUMEI》

.

廉を止めようと、ちょっと!と、荒げた声をあげたが、店員は笑顔で、かしこまりましたぁ〜と答え、さっさとワンピースを持って来る。


「こちらへどうぞ〜」


ワンピースを片手にそう言いながら、店員はわたしをフィッティングルームまで、無理やり案内する。廉もおとなしくついて来た。

わたしは廉を振り返り、あのさ!と小声で言う。


「わたし、お金持ってないけど!!」


慌てて家を飛び出したから、財布どころか携帯すら持ち合わせていない。まさか、こんなふうに連れ出されるとも思っていなかったし。


.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫