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《MUMEI》 . まくし立てたわたしに、廉はあっさり答えた。 「試着はタダだよ」 ………おっしゃる通りですよッ！！ 試着はタダですともッ！！ って！！ 「そういう問題ッ！？」 たまらず叫んだわたしに、廉は面倒臭そうに眉をひそめて、どうでもいいから！と、怒鳴りつけた。 「つべこべ言わず、さっさと着ろッ！！」 彼は店員からワンピースを奪い、それとわたしを試着室に押し込めて、ドアをバタン！と勢いよく閉めた。 閉ざされた、鏡張りの小部屋の中で、 わたしはワンピースを抱えながら呆然とする。 ………なに考えてんの、アイツ。 わたしはワンピースを眺めた。 こんな高そうな服を試着したら、それだけで値段の１０％は取られそうだ。 モヤモヤとした不安を抱えて、 すべてを諦めたわたしは、着ているスウェットを、いそいそと脱ぎはじめた。 ＊＊＊＊＊＊ 前へ |次へ |
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