《MUMEI》
栄実の家
    〜海視点〜


午後の授業は、午前の授業と違い平和に終わった。


歩が、授業中に鼻歌を歌い出す程アホだとは思っていなかった。


まぁ歩だし仕方ないか・・・。


とても失礼な答えに納得しながら、帰りの支度を終え麗羅チャンの席へ向かう。


麗羅チャンも帰り支度を終えて、待っていたので


「じゃあ行こっか」


っと声をかけ、歩き始める。


ふと後ろを向くと、麗羅チャンが北川に手を振り、北川も笑顔で麗羅チャンに手を振り返していた。


麗羅チャンが、俺の居る教室のドアまで小走りで走って来ているのを羨ましそうにそして、悔しそうに見ている男と視線がぶつかる。


麗羅チャンが、俺におまたせっと声をかけてきたので、一旦麗羅チャンに視線を戻す。


そして俺がその男の方を苦笑いしながら差すと、麗羅チャンは不思議そうに俺の指の先に目を向ける。


麗羅チャンが向いた途端、その男――歩は満面の笑みを浮かべ爽やかに手を振り始めた。


「麗羅チャン、海また明日!」


歩の豹変ぶりに溜め息しか出なかった。


麗羅チャンは、歩に手を振り返しているが、どことなく元気がないように見える。


「じゃあ海、案内よろしくね」


麗羅チャンの言葉に頷き、教室を後にした。


玄関に着き、靴を履き替えていると麗羅チャンがボソリと呟く。


「栄実喜んでくれるかな・・・」


麗羅チャンの言葉に、俺は力強く答え麗羅チャンに笑顔を向ける。


「栄実、絶対喜ぶと思うよ」


すると麗羅チャンはふわりと笑った。


「海が言うと、大丈夫な気がしてきた」


その言葉に、また俺は笑顔になる。


他愛のない会話をしているうちに、栄実の家の前まで来ていた。


「麗羅チャン、ここが栄実の家だよ」


俺が声をかけると、麗羅チャンは少し緊張しているのか真剣な顔で頷く。


そして、俺や歩が貰ったのと同じお菓子の包みがいくつか入っている紙袋を扉の前に置きインターホンを押す。


栄実が出てくるのをドキドキと待っている俺の腕を引っ張り、麗羅チャンは歩き出した。


そんな麗羅チャンに戸惑いつつも、俺は麗羅チャンについて行く。

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