《MUMEI》
考えた結果
    〜麗羅視点〜


栄実の家から私達が見えないであろう所まで歩いて、私は立ち止まり海の方に振り返る。


「海、今日はありがとね」


私は笑顔を浮かべてお礼を言ったが、海は納得がいかないっといった表情を浮かべ質問を投げかける。


「栄実に会わなくていいの?」


海の質問に、私は海の目をまっすぐに見て答える。


「海、栄実が暫く学校に来ない理由、少し話してくれたでしょ?


それで私なりに考えたんだけど


今、栄実は私に会うことを望んでないかなって思って」


決して悪い意味で言っている訳じゃない。


海の話から、今栄実は海にも会おうとしてない。


ずっと一緒に居て、辛い時一番側に居て欲しいはずの存在の海でさえ、栄実は会っていない。


だから栄実は今、誰にも頼らず、他の人の力を借りずに自分の力で納得のいく答えを出そうとしてる。


それなら私は待つことしか出来ないから。


私の言葉を聞いて最初は眉をひそめた海だったが、私がマイナスの意味で言った訳ではないことを察し


「こんなに想ってくれる友達が居て栄実は幸せだな」っと笑った。


海の言葉に私は照れながらも、嬉しい気持ちになる。


「あっ海、時間大丈夫なの?」


用事あるって言ってたよね・・・。


私の言葉を聞いて海は、腕時計に目をやる。


「ん〜そろそろ行こうかな」


「用事あるのにありがとね」


海の返事を聞き、私は満面の笑みを浮かべお礼を言う。


海は、気にしなくていいよっと言いながら笑った。


「じゃあまた明日ね」


海は手を振ると爽やかに走り去っていく。


そんな海の背中に私は手を振り返す。

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