《MUMEI》 「バーカ。」 「…わり。」 「7メートル取られるくらいならポストの方がマシだっつ〜の。」 「ごめん。」 沖は今、 かつてないほど上手い選手に見えていた。 実際に成長したこともあるが、 やはりバックシュートが大きい。 市立工業の選手たちに強烈な印象を与えた。 その結果こそが、 相手のプッシングを引き寄せたのだ。 「ピッ!!」 審判の笛が鳴る。 「1本行こうッ!!」 ボールは市立。 センターから右45(大下)、 右45から右サイドへとボールが渡る。 やはり狙いはずらしだ。 キュキュッ!! シュッ!! 右サイドから右45へ。 ボソッ… 「またあいつか…」 ベンチのクロが呟く。 (ダメだ… この位置じゃこの人を押さえきれない…) 前に出る椎名。 「バカたれ!!」 叫ぶユキヒロ。 キュキュッ!! ヒュッ!! (えっ…) 1対1からパスを出す大下。 ポストパスだ。 「ナイスパスッ!!」 パスが通る。 「ちっ…」 ドンッ!! 「うわっ!!」 「ピーッ!!」 審判の笛が鳴る。 「…チャージか。」 ※チャージング。 相手プレイヤーに突き当たること。 ユキヒロのディフェンスファールだ。 さっ… 審判がイエローカードを取り出す。 (警告かよ!?) 渋々手を上げるユキヒロ。 市立工業の7メートル。 前へ |次へ |
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