《MUMEI》

「音姫……、お前……」

マロージャーも意外な反応に驚いている。


「違うのよ、あれだけ凄い凄い言われてるくせに本人が腑抜けていたら張り合い無いでしょ!
私にだってプライドがあるのよ、それだけのレベルならそれに見合った態度で堂々としてればいいじゃない!」

よくぞ言った嫁。


「うん、そうだな。
いつもだけど今日のじろーは特に魅力的だった。
あんな誑かしてるんだから色気満載で挑発して貧乳な嫁を見下してやればよかったんだよ。」


「貧乳じゃない!Bはあるもん!」

反論されながら右から嫁にアッパー、無言で左からマロージャーにローキックを喰らった。


「おばか……皆さん、ありがとうございます。」

悶えてる俺の顎を一瞬だけ触れてくれた。


「私は貴方の敵なんだからね!」

嫁、ツンデレか?

じろーって、誰かに影響を与えるんだ。
それに気付けるのは少ないけれど、きっと嫁はそれを理解してくれたのかも。

じろーを嫌いになれる人なんてそういない。


「木下二郎に惚れ込んで選んだのは私よ、GLASS LIPSの頂点である私が判断を誤る筈無いんだからほら、ギュー。」

花柳棗め、二郎に抱き着いて!


「あの……そろそろいいですか。」

スタッフに注意されてやんの、二郎の髪を直ししてた人だ。
セットしてる手つきがなんかいやらしくてムカついた。


「茉理のケチ。」

マツリというのか……確かに、妙に開いてる襟が祭だ、鎖骨見せててわっしょいっぽい。


「皆そう思ってる、俺が身内だから代表して言ってるんだから。」

身内……、花柳棗と背丈とか鼻筋とか似ているかもしれない。


「……男だよね。」

口に出してしまった。
茉理という名前や仕草が、女性的だったのだ。


「ええ、そうですよ。名前が女みたいなだけで見たままの、彼女も居る、おっぱい大好きな、男ですよ。」

凄い主張された。


「おっぱい好きなんだ。俺は尻のが……むしろ脚。」

俺も主張してみた。


「そういうのいいから。」

強めの二郎の割愛が入る。


「もっとマツリと話したかった。」

二郎とメイクを落としに消えてゆく。


「流石茉理……懐かれるのが早いわ。今度ゆっくりお話したいわね。」

花柳棗が名刺をくれた。

俺も作ってはいたが今日は持ってないので、代わりに飴玉をあげたら頭を撫でられて妙に可愛がられた。

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