《MUMEI》 いけない夢いつも行く公園。広い公園。なぜかキリンやシマウマがいる。 これはきっと夢だ。夢の中でこれが夢だとわかるほどの、浅い眠り。 もうすぐ朝か…。 あたしは裸。生まれたままの姿。裸足で公園を歩く。素足で土や草を踏む感触が心地よい。 キリンやシマウマたちは、スローモーションのように、ゆっくり歩いている。あたしは両手を上げて伸びをした。 全裸で動物たちに囲まれている。この開放感がたまらない。 草食動物だけだと思って安心していたが、肉食動物もいた。遠くを見ると、ライオンの群れや、トラが見える。 あたしはドキッとしたが、これは夢だ。怖くない。わざとライオンの群れに近づいていく。スリル満点だ。 ライオンもトラも、スローモーションで動いていた。目を開ければ、簡単に起きられそう。でも悪い夢ではないから、もう少しこの空間を味わっていたい。 あたしは裸のまま寝転んだ。うつ伏せになる。気持ちいい。 また仰向けになって、両手両足を広げた。トラが来る。あたしは大の字のまま、トラに足を向けている。怖い。でも襲われなかった。 瞳を閉じる。荒い息。気配を感じて目を開けると、そこには半裸の男がいた。 屈強な男たち。原始人か。あたしは大勢に囲まれて、何と強い力で手足を押さえつけられた。 あたしは仲間。同じ人間よ…。 しかし言葉が通じない。あたしは男たちに、荒々しく抱かれてしまった。 これは夢なのだ。あたしは彼らに身を任せた。 「……」 三崎瑠璃花は、自然に目を開けた。夢から覚めた。外はまだ暗い。 「ふう。変な夢」 瑠璃花はベッドにうつ伏せになる。彼女は、夏はいつも全裸で寝ていた。枕もとの時計を見ると、もうすぐ4時。夜明けは近い。 「あたし、欲求不満なのかなあ?」 ベッドから出ると、裸のままキッチンへ向かう。瑠璃花は冷蔵庫を開けて何か飲もうと思ったが、ドリンクがなかった。 「ああ、自動販売機で何か買ってこよ」 そう思っただけで胸の鼓動が高鳴る。夢と同じように、裸のままアパートの前にある自動販売機でジュースを買う…そんなことをしたら、さぞかしスリリングだろうと思った。 「まさかね」 一応二十歳の女の子。そんな危険なことはできない。瑠璃花は理性で抑えた。 全裸で外に出たら違法だ。だれかに通報され、警察に捕まったら、身の破滅だ。 なぜなら彼女は、正真正銘の警察官だから。 次へ |
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