《MUMEI》

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試着室のドアのまえに立つなり、彼は乱暴にドアを開いた。油断していたわたしの姿があらわになる。


「すごーい!!お似合いですネ!!」


着替えたわたしの姿を見て、店員がはしゃいだように、サイズもピッタリ、と言った。


「このワンピースがこんなに似合う方、なかなかいませんよ!!」


これでもか!とおだてる店員に、わたしはうんざりして、ありがとうございます…と力無く笑った。

廉はじっと、わたしの姿を眺めて、ふぅん…とひとつ、唸る。


「いいんじゃないの?」


テキトーに、素っ気なく呟くと、彼はすぐに店員に呼びかけた。


「このワンピース、買います。一緒にディスプレイされてたブーツも一緒に。このまま着て行くんで、そのスウェットは捨てて」


テキパキと指示を出すと、店員は、ありがとうございますぅ〜!とうやうやしく頭を下げた。


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