《MUMEI》

.

わたしはたまげて、ちょっと待ってよ!!と廉を怒鳴りつける。


「わたし、お金無いってば!!」


廉にすがりつきながらまくし立てると、彼は、


「俺が払うし」


さらりと答える。



………なんでッ!??



言い返そうとしたが、廉は無視して店員とお店の奥の方へ行ってしまう。

呆然とするわたしに、もうひとりの店員が、ブーツお持ちしましたぁ〜と、目の前に黒いショートブーツを置いてくれた。


わたしは、そのブーツをじっと眺めて、

深い深いため息をついた。





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