《MUMEI》
高等部三年S組2
鈴木虎之介視点


「今更」

「ホモに」

「なるなよ」

「な!」


顔を上げた先にいたのは


三つの同じ顔だった


二年の双子はやたらとハモるが


三つ子は、時々こうして文章を分けて話す


…真剣な時ほどそうなだけに、軽く聞き流せるものじゃなかった


「あまり、いじめるな。三つ子」

「春宮(はるみや)」

「晶(あき)」

「委員長」

「その喋り方もやめろ」


春宮は、眉間にしわを寄せた


三年のトップ5が集まり、俺の席はかなり注目を浴びていた


そして、当たり前のように、そこに、プラス五人


つまり、俺達の相手が近付いてきた


「玄関までだが、一緒に帰る約束をした」

「俺も」

「僕も」

「オイラも」


ムカつく、三つ子


常に、個性を主張する三つ子は、毎回一人称を変える


しかし、オイラは無いと思う


「お前もこの後何も無いだろ? 高橋と違って」

「あ…」


忘れてた


誠は生徒会補佐だから、すぐには帰れない


多分、毎日


…メールするか


そして俺は、結局皆と帰る事にした

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫