《MUMEI》
選手の気持ち
市立ベンチ。



「どうだ赤高は?」



ベンチに座る選手たちに、


監督が問い掛ける。



「…強いすよ。
わかってたことだけど全体的にスピードが速い。」



「キーパーも予想以上に止めてきますね。」



「両45…特にエースの突破が半端じゃないす。」



選手たちそれぞれが赤高の持ち味をその肌で感じていた。


選手たちの意見を聞き、


監督が口を開く。



「そうだな。
ベンチから見た感じでも同じような印象を受けた。」



「でしょ?強いすよ赤高。」



「ふむ…


が、


向こうもまだ乗り切れてないと見える。


こっちの攻撃に弾みがつけばチャンスはありそうだな。」



「うっす。」



「そこで…だ。


10分間大下を中心に攻めたからな。


ここからは裏をかいて別で攻めるぞ。」



「はいッ!!!!!」



「後藤(ポスト)中をかき回せ。」



「はいッ!!」



「奥寺(エース)と松本(センター)はもっと積極的にシュートを狙え。」



「はいッ!!!!」



「田中(左サイド)と山崎(右サイド)は戻りを早くして速攻を止めろ。」



「はいッ!!!!」



前半のタイムアウトを取った市立工業。


点差は離れているもののまだまだ追い付けない点差ではない。


今後の対抗策を伝え、


残り時間内での逆転を狙った。

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