《MUMEI》

赤高ベンチ。



「調子は悪くないみたいだね。


いまいちリズムに乗り切れてないような気もするけど、


それでもリードできてるのは上出来だよ。」



クロの話を選手たちが聞き入っていた。



「沖。」



「はい?」



「凄く良かった。」



「でっしょ〜!?」



「うん。でも交代。」



「何でッ!?」



「千秋を投入する。」



クロの言葉に椎名が反応する。



「日高さんか関谷さんがポストですか?」



「いや、ポストは千秋。」



「え…


いやでも今日の相手は結構当たり強いすよ?


千秋のガタイじゃ位置取りが厳しいんじゃないすか?」



「そ〜だそ〜だ!!」
※沖。



「いいからいいから。」



椎名の考えは最もだったが、


クロはそれを聞き流す。



「…」



「千秋の投入には意味がある。


作戦が上手くいったらまた沖を戻すよ。


その間に沖に次の攻撃の指示を与えとくからすぐ対応して。」



「わかりました。」



「ビーッ!!!」



オフィシャル席のブザーが鳴る。



「時間だ。
よし!!行って来い!!」



「はいッ!!!!!!!」



最初のタイムアウトが終わる。

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