《MUMEI》

「聖ちゃんは何処に…」
「あー、俺の部屋(地下)で勉強してるよ」

「…そうですか」


はあ…





「だって臭かったからね?でもでも、もうすぐ戻るつもりだったんだよ?」

「……」

俺はバスタオルで髪を拭きながらノートをめくる。


…たった二時間ここに居なかった間に化学の課題完璧に終わらせている。


鬼の様に出てたのに…しかも完璧。



俺はもう一冊のノートも見る。

俺は選択していないフランス語…

何がなにやらさっぱりだが全部終わったらしい。

フランス語の教師、高木は松本と仲が良くたまたま話したことがあるが、聖ちゃんは天才だと絶賛していた。

4月から授業で始めたばかりなのに既に大学受験レベルらしい。

つか聖ちゃんは塾に生まれて一度も行った事がないのに今の高校に二位で受かってたらしい。


元々天才なんだろう。
羨ましい。

俺も物覚えには自信がある方だけどやはり天性の才能には敵わない。



「しかし聖ちゃんが本気で勉強したらどうなるんだ…」

「この頭の良さを機転にいかせればなあ、材料さえ言えばどう使うかわかると思ってたからなあ」


陸さんはノートを見ながらしみじみと言い、そして俺を見てプッと吹いた。

「……まさか養命酒でタマゴ酒なんて…ププ…」


「笑い事じゃないですよ、あのまずさといったら世界レベルでした…」

「何言ってんだよ〜おかげで治ったじゃん」


聖ちゃんはそう言いながら、馬肉と葱を味噌とニンニクで炒めたものを食べている…。

「貢も食べろよ」


「…いらない」


臭いだけでいらない。つかいらなくなった…。











俺のキライな食べものが一品増えた…。










END

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