《MUMEI》
麗羅からの手紙
    〜栄実視点〜


封筒から便せんを取り出すと、便せんも封筒と同じ柄だった。


ゴクリと唾を飲み込み、大きな深呼吸をして美しい字を1文字1文字目で追う。



"栄実へ


手紙を書くの初めてだから上手く書けるか分からないけど、最後まで読んでくれると嬉しい。


栄実は出会った時からずっと私に笑顔で接してくれたよね。


その笑顔に何度も救われ癒されたよ。


そんな栄実の笑顔が大好きだよ。


栄実は私にたくさんのものをくれたし、たくさんのことを教えてくれた。


止まってた私の中の時間を動かしてくれた。


栄実は私にとってかけがえのない存在だよ。


そんな栄実が、辛い思いをしてるのに気づかなかった私だけど


栄実が心の底から笑える日が1日でも早く来るように願ってる。


そして栄実が自分の力で納得のいく答えを出すのを待ってるよ。







本当は、言うべきことじゃないって分かってるんだけど・・・


栄実が辛い時に何もできない自分が情けない。


側に居ても何か出来る訳じゃないかもしれないけど


隣に居れないのは辛い。


私が過去の話をした時、栄実はずっと隣に居てくれて、私のために涙を流してくれたよね。



そんな栄実の存在に・・・救われたんだよ。


何も出来なくても辛い時栄実の側に居たかった。


頼りにならないかもしれないけど


大好きな栄実の力になりたいって思ってる。



頑張ってる栄実にこんなこと言ってごめんね。


でも忘れないでね。


私はいつでも栄実の味方ってこと。


栄実のことずっと待ってるから。


最後まで読んでくれてありがとう。


      麗羅より"



手紙を読み終える頃には、便せんの上に水玉模様が出来ていた。


ポタポタと瞳から流れ落ちる雫によって。

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