《MUMEI》

.

わたしは、ゆっくり空を仰いだ。

広い、広い青空。

どこまでもつづくスカイブルーは、腹が立つくらい爽やかで、

より一層、わたしの気持ちを暗くさせる。



−−−正直、

『男の子と付き合う』ってこと自体、よくわからない。

テレビのアイドルとか、マンガの王子様にキュンとすることはあっても、

それが『恋』なのかどうか、わからない。



………やっぱり、わたし、コドモなのかなァ。



わたしはまた、ため息をついた。



そのとき。



境内にまっすぐ伸びる、参道の上に敷き詰められた砂利が、微かに鳴った。

わたしはハッと顔をあげる。

そして、目を見開いた。



わたしが座っているベンチから、少し離れたところにある、朱い鳥居。



その鳥居の下に、



男の子がひとり、立っていた。





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