《MUMEI》
三対一
「かわいい!」
由美子はバスタオル一枚なのに、三人に囲まれてしまった。
「何で裸なの彼女?」
「違うんです!」
「その下ってもしかしてスッポンポン?」
「違います」
「違うならタオル取ってもいいな」
男たちが由美子のバスタオルに手をかけた。由美子はしゃがみ込んでバスタオルにしがみついた。
「やめてください、やめて」
「やめないよ」
三人がかりで来られたら全裸にされてしまう。このままでは最悪の事態も考えられる。由美子は叫んだ。
「助けてえ!」
「テメー」
「うぐ、んんん!」
口を手で押さえられた。由美子はその手に噛みついた。
「イテテテ…」
「きゃあああああ!」
悲鳴を聞いたのは、公園の近くを歩いていた美里と瑠璃花だった。
「悲鳴?」
美里が戦士のような顔つきになって走った。瑠璃花も後を追う。
公園では、男たちが由美子を押し倒していた。バスタオルを取られてしまう。絶望的な状況でも諦めずに、由美子は激しく抵抗した。
「いやあ!」
バスタオルを取られてしまった。裸を見られてしまった。恥ずかしくて悔しくてたまらない。
そこへ美里が走って来た。
「何やってんだ貴様らあ!」
「やべ」
三人が立ち上がる。
「警察だあ!」
警察と聞いた瞬間に三人は走った。しかし美里が凄いフットワークで男たちの前に出た。
「どけ!」
男が美里に掴みかかる。引き込んで巴投げ!
「ぎゃあああ!」
ブランコの柵に背中から落ちて半失神だ。
「テメー」
次に来る男を掴んだ瞬間に一本背負いで叩きつけ、上から顔面にパンチを叩き込んだ。
「ぎゃっ…」
「待て、やめろ」
たじろぐ三人目にゆっくり近づくとボディに左ミドルキック。右ローキック。尻餅をついた男の顔面にバッグパンチ!
「あああ!」
瑠璃花は唖然として見ていた。
美里は、最初の一人をブランコの柵に手錠で拘束し、あとの二人は、一人を引きずって近くに寄せ、二人の手首に手錠をかけて繋いだ。
瑠璃花が呆れ顔で聞く。
「先輩、手錠いくつ持ってるんですか?」
「課長には内緒よ」
「それは許しを得てないんだ?」
美里は返答せずに由美子のところへ歩いた。彼女はバスタオルを胸に引き寄せて泣いている。
起き上がれそうもない由美子を見て、美里は抱きしめた。
「でるき限りのことをしますから、気持ちを確かに持ってください」
このセリフ。由美子は誤解されたくないので言った。
「大丈夫です。レイプはされてませんから」
「ホントですか?」
美里は由美子を一瞬見つめると、もう一度優しく抱きしめた。

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