《MUMEI》
出発前の報告
エアーの栄養剤が残り少ない事もあり、南国旅行準備は急ピッチで進んだ。


急に連休を希望したクーだが、O2カンパニー社長は驚くほどあっさりそれを許可した。


ただ、息子のオゾンはクーに会えなくなるので不満気だった。


オゾンの主治医でキセノンの父親のライトは、キセノンから真相を聞いていたから、『若いのう』とにこにこしていた。


ちなみに、キセノンに旅行の事を話したのはネオンで


キセノンは、聞いたその日に『しばらく会えなくなるから』と、アルゴン目一杯いじりに来た。


そして、いよいよ、旅行前日


その日、クーはいつもより早くオゾンの部屋を後にした。


これはクーの希望ではなく、社長の配慮だった。


「やぁ、クー君」


そんなクーに話しかけてきたのは、グリーン博士だった。


グリーン博士は、クーが話しかけてこないのを不審に思い、自ら声をかけたのだった。


きっと、博士である自分に遠慮して、話しかけてこないに違いない


「私に話があるんじゃないかね?」


栄養剤が終りそうで焦っているんだろう?


だが、実際焦っていたのはグリーン博士だけだった。

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