《MUMEI》 強行手段『いえ? 何もありませんけど…失礼します』 クーは逃げるように、グリーン博士から去って行った。 何か、嫌な感じがするな、あの人 最初から印象はよく無かったが、今回の件でクーは明らかにグリーン博士に嫌悪感を抱き 警戒するようになった。 「どうなってるんだ!一体」 何故あの少年は自分を頼らない!? 研究室に戻ったグリーン博士の機嫌は最悪だった。 「あ、あの、博士…」 「何だ!」 「あの、少年は、実験体と一緒に旅行に行くそうです」 「…それは、本当か?」 「は、はい!社長が言ってました!『黒髪緑の目の美少女と、南国旅行するから休みを取りたいなんて、青春だよね』と」 それは、確かに社長が何気ない風を装い、グリーン博士の助手に話しかけた一言だった。 最近の社長は本当に機嫌が良く、ライトやグリーン博士の助手にも気軽に話しかけるようになっていた。 「それから社長は、明日から出張に行くとも言ってました」 「そうか」 それなら、派手に動いてもバレない。 そう確信したグリーン博士は助手に命令した。 「南国で実験体を処分しろ」 …と。 前へ |次へ |
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