《MUMEI》

一つ目の山の頂上から、葉子が逃げてきた金折村が見えた。村は美しい朱色に染まっていた。森代が村に火を放ったのだ。炎に燃える住み慣れた村を涙の貯まった目で見つめても、森代の放つ紅蓮の気がいっそう村を壊しているように見え、恐怖ですぐ目を逸らしてしまった。

二つ目の山を下り終えようとした時に、葉子は声にならない悲鳴をあげた。大きな村へと続く一本道のちょうど入口のところで森代が待っていたのだ。みんなを殴り殺したであろう凶器である大きな鉄の固まりを両手で持って。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫