《MUMEI》
トリッククロス
試合は進んだ。


前半15分の時点で、


市立工業はスコアラーである大下の2分間退場。


赤高はその隙を見逃さない。


ここぞとばかりに攻め込んだ。


たった2分。


その間に赤高は3練取を奪い、


スコアは12対5まで離れていた。


そして2分後。



























ザワ…


「きたぁぁぁぁぁッ!!!!!!!」


ザワ…


「晃(大下)ぁぁぁッ!!!」


ザワ…


「取り返せ晃ぁぁッ!!!!!」


ザワ…





























2分間退場が明け、


大下がコートへ。


とたんに盛り上がる市立応援陣。




























赤高ベンチ。



「来たか…。沖ぃ〜。」



クロが沖を呼ぶ。



「わかってるね?


ここで勝負をかけるよ。


作戦はさっき伝えた通り。


椎名たちにもすぐ伝えて。」



「わかってやすッ!!!」



「よしゴーだッ!!」



「はいッ!!」



席を立つ沖。



「千秋ッ!!交代ッ!!」



ベンチを確認する千秋。


走ってベンチへ戻る。



パチンッ!!



交代の瞬間ハイタッチを交わす2人。



「ふぅっ…」



ベンチに座る千秋。



「…ケガは?」



千秋に尋ねるクロ。



「大丈夫です!!」



千秋は笑顔で答える。



「いいタイミングだったよ。」



「ホントすか!?」



「うん。
また出番あるけど今は休みな。」



「はいッ!!」



満足気な顔をする千秋を見て安本は思った。



(…かなわないな。)



試合は進む。

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