《MUMEI》
美しき天使
美しき天使は、ドエスアクマンの居場所を探して、あちこちの部屋を覗いた。
再び狭い廊下を走る。前方から悪魔の兵士が大勢来た。
「おおお!」
「くせ者だあ!」
天使は反対方向へ逃げようとしたが、そちらにも兵士がいた。
「まずい」
目の前にある部屋に飛び込んだ。兵士たちも入って来る。天使はドアを開けようとする。開かない。
彼女は銃で鍵を壊し、ドアにキック。開いた。広間に出た。
そこには、仇敵ドエスアクマンがいた。
「ドエスアクマン!」
兵士たちも入って来て天使を遠くから取り囲む。不用意には近づかない。
ドエスアクマンは黄色い長髪。水牛のような角。オレンジ色の目をしていて、目の玉がない。
2メートル以上の巨漢でがっしりした筋肉質の体は、黒装束に包まれていた。
ドエスアクマンと天使が向かい合う。
「よくぞ来たな。久しぶりに見るが、相変わらず美しい。天使ミサト」
美里が顔をしかめた。
「はあ!」
「偶然だよ偶然」
振り向いて弁解する徳中に、同意の頷きをしながら見つめる瑠璃花。
美里はますます疎外感を感じた。
天使ミサトはドエスアクマンににじり寄る。ドエスアクマンは平然と構えた。
「ミサト。わかってると思うが、俺様に捕まったら最後、1分で悪魔にしてやるぞ」
「黙れ!」ミサトは睨みつけた。「貴様のような醜い悪魔に触られても汚らわしいだけだ!」
「ハッハッハッハッハッ!」ドエスアクマンは天井を向いて笑った。「最初は皆そう言うのだ。しかし俺様に攻められたら、たちまち弱気な顔で哀願を始める。ふふふ。ミサトが俺様の攻めにどこまで耐えられるかが楽しみだ」
「バカバカしい。1分でくたばるのは貴様のほうだ!」
ミサトはドエスアクマンの胸めがけて銃を連射した。効かない。
「バカな?」ミサトの額に汗が滲む。
「ミサト。胸を撃つということは、殺意の表れだな。ということは、俺様がおまえにどんな酷いことをしても、ぐふふ。文句ないな?」
「黙れ!」
ミサトが空中高く飛んで顔面にキック。よけるドエスアクマンはミサトの片腕を掴んだ瞬間にボディブロー!
「あう…」
意識が遠のく。彼女は思わず片膝をついた。容赦ないドエスアクマンはさらにボディに膝蹴り!
「あああ!」
素手では勝てないと悟ったミサトは、一旦逃げようとするが、足首を掴まれて強引に仰向けにされてしまい、そこを腹パンチ連打。
「あう、うぐ、やめろ、やめ……んんん」
ミサトは無念にも気を失ってしまった。
「ふふふ」
床に大の字になって目を閉じている無防備の美しき天使。
ドエスアクマンは、これから起こることを想像すると、興奮を抑えることができなかった。

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