《MUMEI》 . ブーツを履き終えて試着室から外に出ると、ちょうど廉が会計を終えたところだった。 「ちょっと、お金…!!」 声を荒げて、廉がいる、少し離れたところのカウンターまで歩み寄ろうとしたとき、 −−−グニッ! 「ギャッ!!」 高いヒールのせいで、足を軽くひねった。ケガはしてないが、わたしの身体が大きくよろける。 店員が慌てて、大丈夫ですかッ!?と駆け寄ってくれたが、わたしは恥ずかしくて、大丈夫です…と俯きがちに早口で答えた。 . 前へ |次へ |
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