《MUMEI》
特別待遇@
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エントランスを出ても、廉はなにも言わなかった。後ろにいるわたしを、振り返ることすらしなかった。

ネオンに彩られた繁華街を、ひたすら歩く。


「…ねぇ」


無視。


「ねぇ!」


また無視。


「ねぇってば!!」


さすがにイラッとして大声を出すと、廉はようやく振り向いた。


「なんだよ、うるせーな」


欝陶しそうに眉をしかめる彼に、わたしは、うるせーなじゃない!!と怒鳴りつける。


「アンタ、どういうつもりなのッ!?」


噛みつくような勢いのわたしを見て、廉はうんざりしたような顔をした。


「お前はもうちょっと静かに話出来ないのかよ」


目立ってしかたない…と、周りを気にしながらぼやいた。


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