《MUMEI》 恐怖の時間翌日から、美沙子の護衛には、今までの刑事に加えて、美里と瑠璃花がついた。 美沙子がアパートに帰宅すると、男の刑事はドア側を、美里と瑠璃花はベランダ側を見張った。 美沙子はテレビを見ていたが、軽く伸びをすると、時計を見た。 「10時かあ。シャワー浴びてこよ」 戸締まりを確認してからバスルームへ。脱衣所で服を脱ぎ、シャワーを浴びた。 美しい体を入念に洗う。 シャワーを浴びたあと、脱衣所で髪と体を拭くと、バスタオルを巻いて部屋に戻った。 バスタオル一枚。何となく怖くなり、美沙子はすぐにブラとショーツをつけ、スエットを着ようとしたが、全身鏡に自分の下着姿を写してみる。 毎日トレーニングしているから、理想的な体型を保っている。 美沙子は口もとにやや笑みを浮かべた。 レモンイエローの下着もセクシーで気に入っている。 そのとき。 「え?」 鏡に角が写った。後ろを振り向くとマスクマン。 「きっ…んんん!」 口を革の手袋で塞がれたままベッドに押し倒された。 「騒いだらこうだぞ」と拳がおなかに食い込む。 美沙子は力を抜いて静かにした。 「よーし。いい子は好きだ。大人しくしていれば酷いことはしない。騒いだら裸にしちゃうぞ」 美沙子はしきりに首を左右に振った。 強引にうつ伏せにされ、手ぬぐいで両手首を縛られるも、美沙子はなぜか落ち着いていた。 仰向けにされると、両足首をキッチリ縛られてしまった。 「祐也君」 マスクマンはビクッと反応した。 「祐也君なのね。外に刑事が三人もいるのよ。自首して」 マスクマンはじっと美沙子を見つめると、囁いた。 「祐也ってだれ?」 「え?」 美沙子は硬直した。 「嘘、祐也君でしょ?」 「祐也って、だれ?」 美沙子は青ざめた。悲鳴を上げようとするが、また手袋で口を塞がれた。 「んんん!」 男は引き出しからショーツを出すと、口の中に突っ込んだ。屈辱だ。 「うぐぐ…」 そのままタオルで口を塞ぐと、マスクマンは美沙子を抱きかかえた。何をするのか。美沙子はもがいた。 玄関に運ばれるとドアの前で下ろされた。 「騒いだから裸にして廊下に転がしてあげる」 「んんん、んんん!」美沙子は目を丸くして首を左右に振った。 「それだけは許してほしい?」 「ん」頷くしかない。 「じゃあ、お喋りをしてくれたら、無傷のまま許してあげる」 美沙子は荒い息づかいのまま、しきりに頷いた。 「猿轡外すよ」 「ん」 猿轡が取られた。 「男の人にはわからないかもしれませんが、下着を見られるのは死ぬほど恥ずかしいです。会話はしますから、服を着させてください」 「下着姿は恥ずかしい?」男が聞く。 「恥ずかしいです。わかってください」 「わかった。じゃあ、取ってあげる」 「ありがとうございます」 マスクマンはブラを取ろうとした。 「何やってるんですか!」美沙子が怒った。 「あ、大きい声出したね?」 マスクマンはドアを開けようとする。美沙子は慌てふためいた。 「ごめんなさい、ごめんなさい」 「かわいい」 上から危ない雰囲気で体を眺めている。怖過ぎる。美沙子は震えた。 前へ |次へ |
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