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《MUMEI》 ｢律斗……。なんで揉めたの？｣ 馴染めなかったか……。 職員室で話し合いになってしまった。 事の起こりは漢字テスト中である。 携帯を授業中触ることを禁止していて、見付かると没収するのが原則だ。 テスト中に携帯を触っていた律斗を生徒が見付けて俺に言う。 ｢放課後には帰すから渡して。｣ ｢持ってない。｣ あろうことか歯向かってきた。 ｢俺、見てた！｣ ｢私も。｣ 生徒達が報告する。 ｢見間違いじゃない？｣ 素知らぬふりだ。 ポケットからはやはり携帯が出てきて、強制的に没収してしまった。 答え合わせの時も元々優秀な律斗は満点を取ったせいでカンニングと囁かれている。 真偽はともかくとして、律斗はそういうタイプじゃないことは俺がよく分かっていた。 席が僅かに空白を置かれている律斗を見るのもいたたまれず、その班に乱入して給食を食べた。 そして携帯を放課後に返すということで律斗を職員室に呼んだ。 ｢泥棒だ。｣ 敵意を剥き出している。 ｢返すよ、俺の質問に答えてくれたらな。｣ ｢脅迫だ。｣ どこでそんな言葉を覚えるんだ……。 ｢……何処で手に入れた。｣ ｢自分のだ。｣ ｢うそつけ、これ、ｉモードには繋がらないんだな。メールも出来ない。｣ ただ、動くだけのようだ。 ｢……最低だ、開いたな！｣ 前へ |次へ |
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