《MUMEI》

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お互いの顔が、すぐ近くにある。彼の身体にピッタリと寄り添うように、わたしの身体が密着する。

はたから見れば、恋人同士に見えるだろう。


それを意識した途端、

カッと頬に熱がおびる。

動悸が烈しくなる。

すぐ隣にいる、廉に聞こえてしまいそうなほど。


「…これも、『特別待遇』?」


廉の顔を見ないまま、わたしは尋ねた。見られなかった。自分の顔が真っ赤に染まっているだろうことを自覚していたから。

わたしの問い掛けに、廉は、おう、と歯切れよく答える。


「天下のアイドルに肩組んでもらうなんて、お前みたいな庶民には、絶対体験出来ないことだぞ」


有り難く思え、と高飛車に言ってのける。


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