《MUMEI》

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わたしがうんざりしながら、そーですね…と頷くと、『彼』はまるで外国人のジェスチャーのように肩をすくめてみせた。


「日本人の感性は独特だよね。わからないことばかりで困る」


と、ため息まじりにぼやくのだった。

今度はわたしが眉をひそめる。



………なに??

『日本人は』って言い方。

自分だって、日本人じゃないの??



理解出来ずにいたのだが、『彼』はもうすでに拝殿のまえから離れていて、参道を歩きながらキョロキョロしはじめた。

なにかを探しているようだ。


「…どうかしたんですか?」


恐る恐る尋ねたわたしに、

『彼』は振り返ると同時に、


「『コマイヌ』はどこ?」


と、いきなり尋ねてきた。


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