《MUMEI》
まだ止まない
-




沈黙に耐え兼ねて


俺が口を開いた





「秀一」

「ん〜?」

「身長何cm?」

「178」

「勝った!」

「え!佑二は何cm?」

「179。」

「一cmかよ…同じじゃん」


秀一はホッとしたように笑った



俺もつられて笑う




「…話は変わるけどさ」

まだ雨は弱まる気配無し


「彼女いるだろ?」

秀一が空を見上げたまま訊いてきた


「いねぇよ。」

俺は顔を秀一に向けた

秀一は驚いたように俺を見てた


「…意外だな」


俺はカバンを下に置いて

「最近、別れちまった」


「そっか。」


制服のゴミを払った





また、しばらく沈黙が続いた






俺は携帯を出して
メール打ってるフリしながら再び

「なあ」

話しかけた

「ん?」


秀一はまた空に向けてた視線を

俺に移した


「なんで俺が怪我した時、名前覚えててくれたんだ?」








「…ああ」

秀一ははにかむように笑った

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