《MUMEI》
ピンクローター
マスクマンは悪魔的に迫る。
「イイ女だな。名前は?」
「美沙子です」
「一発で漢字を当てたら下着を取られるというゲームはどうだ?」
「ヤです」
美沙子は胸のドキドキが止まらない。
「下着を賭けるとはいい度胸だ」
「賭けてません。簡単な字だから」
「美しいにさんずいに少ないに子どもの子か?」
「…当たりです」
男がブラに手をかけた。美沙子は体をよじって手から逃れた。
「何するんですか!」
「賭けに負けただろ?」
「賭けてなんかいません!」
男はしつこい。
「ブラとパンティと、どっちを取られるほうが恥ずかしい?」
「どっちもヤです」美沙子は睨んだ。
「やっぱりパンティのほうが恥ずかしいだろ?」
「どっちも同じくらい恥ずかしいです。わかってください」
「パンティはよく最後の一枚って言うではないか?」
美沙子はイライラしてきたが、じっと耐えた。
「下着姿を見られること自体が恥ずかしいんですよ。下着脱がされることがどれだけショックか、考えてください」
「生意気な態度を取ったね?」
マスクマンがおなかを触った。血の気が引く思いだ。
「やめて、触らないで」
「いいだろ、おなかくらい?」
「ダメです」美沙子は赤い顔をして睨んだ。
「じゃあ、ここは?」
男がショーツを触る。美沙子は膝を曲げてカットした。
「やめてください本当に」
「おなかとどっちがいい?」
美沙子は愕然として答えた。あそこを守るためには仕方ないか。
「おなかです」
「よーし」
マスクマンは容赦なくおなかを攻めた。ソフトタッチで円を描くようにして、下腹部やおへそや脇腹を巧みに攻めていく。
美沙子は唇を結んで気持ちを確かに持ち、妙な気分にならないように心を引き締めた。
「美沙子。ピザが食べたいな」
「ご馳走しますからほどいてください。あたしも一緒に食べます」
ピザ宅配を呼べば刑事が来る。あとは自分が人質にされないように、うまく逃げられるかだ。
「美沙子のケータイは?」
「そこのバッグの中です」
男は携帯電話を手にした。
「ピザ屋のビラはあるか?」
「あります」美沙子は壁にある洒落た籠を見た。
男はそこからビラを取ると、電話をかけ、美沙子の耳に携帯電話を持っていった。
試されているのだろうか。美沙子は慎重になった。ここで助けを呼ぶのは危険過ぎる。
「あ、注文いいですか?」
美沙子が通話していると、マスクマンはピンクローターを美沙子のショーツに当てた。
「あっ…。いえ、何でもありません」
美沙子は腰を動かしてローターから逃れようとするが、無駄な抵抗だった。
面白がっていちばん敏感なところを狙って来る。
美沙子は息づかいが荒くなりながらも、注文を続けた。
超高速の振動に美沙子は顔が真っ赤だ。こういう小道具で攻められた経験がないだけに、翻弄されてしまった。
ようやく通話を終えた。相手が切ると、美沙子は怒った。
「やめてください本当に!」
「よく声を上げなかったな?」
美沙子はマスクマンの変態ぶりに呆れたが、変態ということは、危ないということだ。気は抜けない。
「ピザが来る前に早くほどいてください」
「ピザ屋にほどいてもらえ」
「え?」
男はドアチェーンを外し、鍵を開けた。
「何してるんですか。早くほどいてください」美沙子は蒼白になった。
(まさか…)
「バイクの音が聞こえたら、全裸にして俺はベランダから逃げる」
美沙子は気が遠くなったが、凍りついた顔で哀願した。
「やめて、それだけはやめて」

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