《MUMEI》
真っ直ぐなキス
「オレ、お前が好きだ」

「はいはい」

「本当に好きなんだ。他のものなんてどうでもいいぐらいに好き」

「分かった分かった」

「ずっとお前のことばっかり考えてる。一瞬たりとも忘れたことはない」

「それはどーも」

高校からの帰り道、幼馴染のコイツと帰るといっつもこうだ。

キレイな顔をして、無表情。それでいてしゃべりかたは淡々としている。

小さい時から変わらない。

俺達の関係も変わらない―ハズだった。

変わり始めたのは中学に上がってから。

それまで女の子のように可愛かったコイツは、成長期になると可愛いからキレイになった。

だから女の子にモテまくった。

でも断りまくっていた。

なので俺は聞いてしまった。

「お前、何で彼女作らないんだ? 好みの子、いなかったのか?」

…失敗だった。

何せ次の答えが…。

「オレはお前が好きだから。彼女なんていらない」

……その言葉を理解するのに、たっぷり2分かかった。

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