《MUMEI》

その後、毎日のように俺を好きだと言っている。

ただ…言うだけで、何かを期待しているというワケでもなさそうだ。

待っている…と言うのはアリかもしれないけど…。

「好きなんだ、本当に」

「…ああ」

人気の少ない土手の上の道。

アイツの声が後ろから追いかけてくる。

「きっとお前以上に好きなヤツなんて、一生できない」

こういうふうに毎日言ってくるだけで…俺には何も期待していない。

そのことが最近、イラ立ってきた。

「信じてほしい。オレにはお前だけなんだ」

「っ!」

オレは耐え切れなくなって、振り返った。

「だから何だって言うんだ! お前、俺に何してほしいんだよっ!」

「何って…だから、好きだっていうことを信じてほしいんだ」

「それはっ…」

分かった。十分に理解した。

言われ続けて5年間。時間もたっぷりあった。

でも…結論は言ってはくれなかった。

好きだと言うだけで、何もっ…!

目頭が熱くなってきた。

「…っ」

「泣いて…いるのか?」

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