《MUMEI》
天使様
遠くで話し声がした。

警察がどうとか……、銃口を向けられて
雨の中、放られた。

体温が奪われてゆく。
死が近付くと歩いてしまう。
死に場所をまだ選んでしまう。

青い草の香りを嗅ぎたい。


押さえた掌からどくどくと温かいものが溢れてきた。

信心は無かったが
死ぬ前に、
傘を差した天使が目の前に立っていた。

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