《MUMEI》

「安西……!」

面影が残っている。
息もまだあった……。




夜のことだ、
帰省中に突然、男の子が訪問してきた。

男の子の話と持っていた時計を見て、安西のことだと分かった。

助けてとしきりに懇願していた。

住所や位置もはっきり口にしていて、警察に連絡も出来た。
ただ、居てもたってもいられなくなってしまった。
無意味だと分かってても明日は仕事ですぐにでも帰らないといけないと嘘をついて、昔、安西と帰宅した道を車で走らせた。

風景は形を変えて、キャッチボールをした道も以前より住みやすい街になっている。
まさか、怪我だらけの安西が何キロも離れた此処で見付かるとは思わなかった。

幻と見間違えてしまう。

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