《MUMEI》
微笑ましい限りだ
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「…俺も、疲れた」
ジンも、伸びをしてそのまま後ろに倒れ込んだ
すると、ジンの頭は
ちょうど胡座をかいたリツの腿を
枕にするような形になる
「じッ…ジン?!」
「何」
「い…いや、何でもねーけど…」
私は見ていないフリをしていたが、
リツの照れっぷりは尋常ではなかった
下から見上げるジンと目を合わさないように
リツは視線を泳がせている
「久しぶりだな」
「何が」
リツは視線を泳がせたままぶっきらぼうに言った
ジンは微笑んだ
「リツまくら。七年ぶり」
「…そだな」
リツが面白い。
私は笑いを堪え切れただろうか。
…レスカはグッスリと眠っているようだ
「…ジンはコレ、させてくれねーのな」
「何だ。してほしーのか」
リツはようやくジンを見た
「べっ…別に」
ジンは笑って
「死ぬ前に一回くらいはさせてやるさ」
リツの頭を犬にするようにクシャクシャ撫でた
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