《MUMEI》 「気のせいね……やだ、勘が鈍った?」 「…………」 千花さんが床に穴を空けて去ってゆく。 僕は驚きのあまりに体中が発毛してしまった。 お陰で一面暗闇になり、紛れることが出来た。 とりあえず、千花さんが空けた穴から脱出しよう。 にーさんも一緒だ。 出てみると、そこは理科準備室だった。 薄暗くて気味が悪い。 にーさんの光らせる目でもびくつく。 「千秋様……会いたいです……。」 こんなとこ、早く出たいが千花さんが居なくなるまで待たなければならない。 『無駄口を叩く暇があるなら一人くらい狩ったらどうだ。』 「ちちち千秋様!」 聞いていたのか!は、恥ずかしい……、でも近くに千秋様が居てくれるようで安心した。 『常に水鉄砲は構えているのか?』 千秋様に言われて思い出した。 水鉄砲はポケットにいれっぱなしだった、そんなんじゃすぐにやられてしまうに決まってるじゃないか。 「千秋様の為に僕、戦います!」 『タマ、数でも体型でもお前には無理だ。』 バッサリ斬られた。 「じゃあ僕は千秋様のお役に立てないのですか!」 僕はなんて不甲斐ないんだ。 『愚か者、頭を使え。』 前へ |次へ |
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