《MUMEI》

「情報がある以上作戦は先手を打つに越したことはないでしょ。」



「ん…」



言葉に詰まるユキヒロ。



「前半の間に差を付けた分僕たちは情報を与えてる。


市立クラスなら対策が打てるくらいな情報をね。


前半、


初っぱなからトリッククロスを使わなかったことと、


タイムアウトを取らなかったことには意味がある。」



「えっ…?」



「それはね?
向こうに修正する時間を与えない為だよ。」



「修正する時間?」



「そっ。


向こうが強いチームとはいえトリッククロスに対抗するディフェンスを監督の指示なしでできるとは思えない。


しかもファールトラブルで追い詰められてる。


だから僕はタイムアウトを取らなかったし、


トリッククロスも向こうのタイムアウトがなくなるまで待った。」



「な…なるほど…」



「前半。


向こうの最大ミスはタイムアウトの使いどころ。


前後半1回ずつしか使えないんだし、


有効なタイミングで使わなきゃね。」



(この人はホンッ…ト…)



「すげぇ…」



「なはははは。


僕を誰だと思ってんだ。


ま、


そういう訳だから後半の作戦と行こうか。」

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