《MUMEI》
南城君
日々の喧騒と、
車の走る音、
選挙カー、
黒板の上でチョークの滑る音、

そんなものへ耳を傾けて南城君が座ってる、いつものように窓を見つめながら。

先生は彼を当てなくなった。

別段変わったふうでもなく、つねに彼は聡明で、大人びていて、虚ろなまなざしだった。

彼が少し違ったのは数日前によく彼を当てる登喜子先生が結婚のために退職したときくらい。
彼の秘密をみんなが知らなかったように彼にも知らない秘密がある。

秘密の恋を死と共にくくった彼のように、私もいつも通り素知らぬふりをしよう。

みんな気付かないけれど、南城君の菊の水は私が取り替えている。

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