《MUMEI》

「ガキだろ? まだ。…ったく、しゃーないな」

顎を捕まれ、グイッと後ろに引かれた。

「なっ…んぅっ!?」

熱い唇と共に、タバコの匂いが口の中に広がった。

苦いハズのキスの味は、何故か甘く感じてしまって…頭の芯が痺れた。

「ふぁっ…」

「やっぱりガキだな。キスだけで腰砕けになりやがって」

…確かに膝が笑っていた。

だけどっ!

「なっ何でキスなんて」

「だから言ったろ? 褒美だって」

そう言って抱き締める手に力を込められた。

「それと俺はお前以外のヤツと、ここで二人っきりになるつもりはないからな」

「えっ…」

「ココは俺が1番安らげる場所なんだ。そこにお前さえいれば、俺は幸せになれる」

「なぁっ…!?」

顔が真っ赤になるのを感じた。

こんなプロポーズみたいな言葉を聞いたせいだ。

「いい加減、気付けよ。ガキだと思って、わざわざ回りくどい手を使ってやってるんだから」

耳元で囁かれて、思わず身を硬くした。

「ほっ本当に…?」

「当たり前だ。俺が夢中になっているのは、歴史とお前ぐらいなもんだ」

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